TSMCは好決算。それでも、AI株とキオクシアが下がるのはなぜ?
AI向けの半導体を、世界でいちばん多くつくっている台湾のTSMC。10月15日に出た決算は、市場の予想を上回る好決算だった。TSMC自身も、AIの需要は強いと話している。
それなのに、AI関連の株の売りは止まらなかった。東京の株式市場では、朝からAI関連の株が売られ、午後に決算が出たあとも戻らないまま。日経平均は4.9%下がり、わたしが1株ずつ買いはじめたキオクシアも、12%下がった。ヨーロッパの市場でも、売りは続いている。
好決算で、需要も強いのに、なぜなのか。キオクシアも、需要は強いはずなのに、なぜなのか。
答えは、市場が気にしているのが、もう需要の強さではないから、と見られている。需要が強いことは、もう株価に入っていた。いま市場が気にしているのは、借金でAIに投資している会社が、本当に返せるのか。そして、このAI投資はいつまで続くのか、という点だ。そこに、アメリカの物価と金利の心配が重なった。
🔍「需要は強いのに、なぜ下がるの?」
💾「キオクシアも、なぜ下がるの?」
🐾「わたしは、どうする?」
順番に見ていく。
1. 何が起きたの?
TSMCは、アップルやエヌビディアなどが設計した半導体を、代わりにつくる会社だ。最先端のAI向けの半導体の多くは、TSMCの工場でつくられている。だから、TSMCの決算は、世界のAI需要を測るものさしになっている。
数字だけを見れば、文句のない決算だ。TSMCの最高経営責任者も、需要はきわめて強く、減速の兆しは見ていない、と話している。
でも、東京のAI関連の株は、決算の前から下がっていて、発表のあとも戻らなかった。
日経平均は6日続けて下がった。下げ幅は3,318円で、過去3番目。一方、下げ率は4.9%で、1970年以降では58番目。下げ幅ほどの記録ではないが、半導体の検査装置をつくるアドバンテストは15%下がり、1社だけで日経平均を1,300円以上押し下げている。
2. 需要は強いのに、なぜ下がるの?
TSMCの好決算は、多くの人が「たぶん良いだろう」と思っていた。期待が高いと、良い数字が出ても、株価はあまり上がらない。むしろ、ほかの心配が目立つ。
その心配の中心にいるのが、アメリカのコアウィーブという会社だ。AIを動かすには、たくさんのコンピューターをならべた建物(データセンター)がいる。コアウィーブは、そのデータセンターを自分で用意して、AIをつくる会社に貸し出している。設備をそろえるお金の多くは、借金だ。その社債の値段が、14日に大きく下がった。借金の金利のほうが、設備から得られるもうけより高いのではないか、という見方も出ている。
AIへの投資を支えているのは、こうした会社の借金でもある。AIの借金の記事で「返せるの?」と調べたのと、同じ心配だ。
3. キオクシアも、なぜ下がるの?
キオクシアは、データをしまっておくメモリーをつくる会社だ。そのメモリーを使った、データセンター向けなどのSSD(データをしまう装置)が、4〜6月の売上の約66%を占める。会社は、売上が増えた理由に「生成AI用途を中心としたデータセンター向け」の需要を挙げている。10月13日には、会社がお金を返す力を評価する格付け会社のS&Pが、AIデータセンター向けの需要を理由に、キオクシアの格付けを上げた。
TSMCとキオクシアのあいだに、直接の取引は見当たらない。でも、どちらも「AIデータセンターへの投資」という同じ波に乗っている。波そのものへの心配が出れば、どちらも売られる。
キオクシアには、メモリーの会社ならではの心配もある。13日には、中国のメモリー大手の新しい製品の報道で、競争が激しくなるのでは、と売られた。15日は、アメリカのハイテク株安に加えて、同じメモリーをつくる韓国のサムスン電子やSKハイニックスも大きく下がった。
需要は強い。でも、株価は「いまの需要」より、「この先も続くか」と「ライバルはどうか」で動いているように見える。
4. わたしは、どうする?
だれが言いはじめたのかは、わかっていない。大きく上がった相場ほど、そのあとの下げも大きくなる、という意味だ。
キオクシアは、6月22日の最高値(分割に合わせて直すと36,233円)から、10月15日の終値で6割以上下がっている。
わたしは、10月14日に1株を14,690円、15日に1株を13,000円で買った。15日の終値は12,880円なので、2株とも、いまはマイナスだ。
正直、まだ下がるのか、と感じた。ただ、本当にただのカンだけど、底は近いと思っている。というより、そう願っている。
キオクシアの次の決算は、10月30日だ。谷はまだ深いのか、様子をみてみよう。
5. まとめ
- TSMCの7〜9月の決算は、純利益が前の年より69%増。10〜12月の売上の見通しも、予想を大きく上回った
- それでも、10月15日は日経平均が4.9%下がり、アドバンテストやキオクシアは10%以上下がった
- 理由は、良い決算がもう織りこまれていたこと、借金でAIに投資するコアウィーブへの不安、アメリカの物価と金利、AI投資がいつまで続くかという心配
- キオクシアは、売上の6割以上がデータセンター向けなどのSSD。需要は強いが、株価はこの3日で4分の1ほど下がった
- TSMCとキオクシアに直接の取引は見当たらないが、AIデータセンター投資という同じ波に乗っている
- わたしの2株は、いまマイナス。まだ下がるのかとも感じたが、ただのカンで、底は近いと思っている。というより、そう願っている
・TSMCの決算:TSMC「3Q26 Earnings Release」(米証券取引委員会への提出資料、2026年10月15日)
・コアウィーブ:ブルームバーグ(TBS CROSS DIG)、CNBC(2026年10月14日)
・東京市場:日本経済新聞(2026年10月15日の大引け)
・TSMCの電話会議:決算説明の内容(報道)
・キオクシアの下げの理由:日本経済新聞(2026年10月13日)、フィスコ(財経新聞、2026年10月15日)
・キオクシアの事業:キオクシアホールディングス「決算短信」(2026年7月31日)、IRニュース(決算発表の予定)、S&Pの格上げのお知らせ(2026年10月13日)
・AI投資への懸念:国際決済銀行(BIS)年次経済報告(2026年6月)
・株価:Yahoo Finance の日々の終値




