高配当株は何銘柄あれば足りる? 自分の117銘柄でリスクを計算したら、答えは「数」ではなかった
毎月の資産記録をつくるとき、証券口座からダウンロードしたCSVを使っている。ふと思いついて、そのCSVをクロちゃん(わたしはClaudeをこう呼んでいる)に渡して聞いてみた。
「このCSVで、わたしの日本株のリスクは測れますか」
返ってきた答えは「これでは測れません」だった。
理由を聞いて、なるほどと思った。CSVに入っているのは「今いくらか」というその日のスナップショットだけで、値動きの歴史がない。体重計にたとえると、今日の数字だけでは「体重の変動が激しい人かどうか」はわからない、という話だった。
そこで株価の履歴を足して、クロちゃんに計算してもらった。都合の悪い数字も出たので、そこも含めて書いておく。
1. 結果は15.0%だった
計算したのは年率リスクという数字だ。1年でどれくらい上下に振れるか、を表す。
この15.0%が何を意味するかというと、1年後の評価額の目安はこうなる。
ざっくり言うと、ふつうの1年なら±200万円くらい、荒れた年なら±400万円くらい動くということだ。
数字にすると、けっこう大きい。
2. 1銘柄ずつは、もっと荒かった
おもしろかったのは、この15.0%の中身だ。
1銘柄ずつのリスクを、いまの保有金額の重みで平均すると27.1%だった。それが117銘柄をまとめると15.0%になる。12.1ポイントぶん、分散で消えている。
銘柄ごとの荒さの差も、思った以上に大きかった。
リスク30%を超える銘柄が33もあって、金額でいうと全体の35%を占めている。それでも合計すると15.0%に収まる。1つが下がっているとき、別のどれかが上がっているからだ。
「分散が大事」というのは何度も聞いてきたし、7月は実際にそれで資産が増えた。でも自分の数字で12.1ポイントという形になったのは初めてだった。
3. 銘柄数を変えて、500回ずつ試した
ここが今回いちばん知りたかったところだ。117も持つ必要はあったのか。
自分の117銘柄から、ランダムに何銘柄かを選んでリスクを計算する、というのを500回ずつくり返してもらった。
1銘柄から10銘柄でリスクが10.9ポイント下がるのに、10銘柄から117銘柄では1.7ポイントしか下がらない。
これを見て、最初は「じゃあ10銘柄でよかったのでは」と思った。117も持っている意味がないように見える。
でも、この表には書かれていないことがあった。
4. 10銘柄は「運次第」だった
同じ10銘柄でも、どの10銘柄を引くかで結果はまったく違う。500回のなかでいちばん良かった場合といちばん悪かった場合を出してみたら、話がひっくり返った。
10銘柄だと、当たりを引けば10.6%。はずれを引くと21.4%。同じ「10銘柄に分散しています」でも、中身しだいで2倍以上違う。3銘柄はもっと極端で、当たれば8.4%だが、はずれれば29.9%になる。少なく持つほど、当たりもはずれも極端になる。
円にすると、もっとはっきりする。1,315万円を同じ金額で分けて持ったとして、10銘柄なら1年の振れ幅が当たりで±139万円、はずれで±281万円。引き次第で142万円変わる。
増やすことで買っているのは、低いリスクではなく「運に左右されない」という状態だ。
これは自分でも意外だった。ずっと「たくさん持てば安全になる」と思っていた。
答えは30〜50だった
10銘柄の142万円差は、30銘柄で67万円差、50銘柄では45万円差まで縮む。
正直に言えば、117は必要なかったかもしれない。でも10では少なかった。「何銘柄あれば足りるか」の答えは、平均リスクが下がりきる数(10)ではなく、はずれを引いても耐えられる数(30〜50)のほうだった。
なお、インデックスを1本買う人は、この幅をはじめからゼロで持っている。わたしは117銘柄を集めて、同じ状態をあとから買ったことになる。
5. 30〜50で足りたのは、母集団のおかげ
ここまでの数字には、大きな前提がある。
今回わたしが計算したのは「わたしの117銘柄のなかから選んだ場合」であって、市場から適当に選んだ場合ではない。
そしてその117銘柄の大半は、わたしが自力で見つけたものではない。リベシティで紹介されていた銘柄から選んでいる。業種のバランスを自分で計算して組んだわけではない。すでに散らばっているものを、わたしが並べただけだ。
金額でいうと、6月にポートフォリオを公開したときに数えて75%がリベシティで学んで選んだ分だった(その後も紹介された銘柄を買い足しているので、いまはもう少し高いはずだ)。
つまり母集団の時点で、すでに散らばっている。だから30銘柄でも数字が悪くならない。ここを抜きにして「30銘柄あれば十分」と読まれると困る。同じ業種の30銘柄を選べば、結果はまったく違うはずだ。
数が効くのは、選ぶ元が広がっているときだけだ。たまたま良い数字が出たのではなく、選ぶところで人の手が入っている。しかもわたしの場合、その元は日本のなかだけだ。そこは書いておきたい。
6. もうひとつ前提がある。比率が適当だった
比率についても、はっきりした差が出た。
わたしの買い方はかなり適当だ。そのときの株価と手持ちの現金で、買える株数を買っている。比率を計算して調整したことはない。
その結果、均等に持っていた場合より1.8ポイントぶんリスクが高くなっていた。金額でいうと、1年の振れ幅が24万円ぶん大きいということになる。
これを機に、少しずつ直していきたい。ただし売らない方針は変えないので、やり方は比率の小さい銘柄を買い足していく形だけだ。しかも高配当株は、割安だと判断できたときしか買えない。値段が下がっただけでは割安とはかぎらず、利回り・業績・配当を続けられそうかを合わせて見ることになる。何年もかかるかもしれないけれど、それでかまわないと思っている。
7. ほかと比べてみる
15.0%が高いのか低いのか、感覚がわからなかったので、ほかの指数やETFと並べてみた。
公表されているファンドのリスクは、3年だったり5年だったりと期間も方法もバラバラで、そのまま並べても比べたことにならない。なので全部そろえて、クロちゃんに計算し直してもらった。
意外だったのが日経平均の28.6%だ。この1年はAI関連株の乱高下があって、1日で1,000円以上動く日も何度かあった。日経は値がさ株の影響が大きいので、荒くなりやすい。
そしてこの1年に限れば、既製の高配当株ETFより自分のほうが低かった。19.1%と18.7%に対して15.0%。同じ日本の高配当株なのに4ポイント前後の差がある。銘柄数ではなく、中身の散らばりが効いているのだと思う。
自分ではもっとリスクを取っているつもりでいた。個別株をこれだけ持っているのだから、インデックスよりずっと荒いものだろう、と勝手に思っていた。
それが全世界株(15.5%)ともS&P500(14.9%)ともほとんど変わらない。揺れ幅だけなら、思っていたほど荒くなかったとわかって、けっこうテンションが上がった。
ただし、同じ土俵ではなかった
まず、これは勝ったという話ではない。わたしの数字は「いま持っている117銘柄」で1年を遡って計算したもので、途中で買い足した銘柄も最初から持っていた扱いになっている。ETFのほうは入れ替えも含めて、実際にその1年を通り抜けた数字だ。条件は対等ではない。
もうひとつが為替だ。いちばんはっきり出ているのがBNDで、ドルで見れば3.7%しか動かない、とても穏やかな資産だ。でも円で持つと8.6%になる。乗っているのはドル円の振れ(7.7%)だ。値動きは単純な足し引きにならないので、8.6から3.7を引いても7.7にはならない。円で暮らしている以上、外貨の資産には為替が乗る。
そしてこれは、上の表の全世界株とS&P500にも同じように乗っている。為替を除くと、全世界株は14.2%、S&P500は13.0%だった。わたしの日本株には為替がかからないので、15.0%のまま。つまり為替を外して並べると、この2本より荒いのはわたしのほうだ。
「円で持ったときの揺れはほぼ同じ」と「株そのものの揺れはこの2本より上」は、どちらも本当だ。円で暮らしている自分にとって効くのは前者だけれど、後者を伏せておくのはずるいと思ったので書いておく。
8. この数字の限界
最後に、この計算で言えないことも書いておく。
とくに1つ目が大事だと思っている。ふだんは打ち消し合ってくれる銘柄たちも、本当の暴落では一緒に落ちる。今回の15.0%は「ふつうの1年」の話でしかない。
それでも、自分の資産がどれくらい動くのかを数字にできたのは、すごく良かったと思っている。
±200万円という数字は、見た瞬間は大きく感じた。でも取り崩さない設計にしているので、動いても売らなくていい。どれくらい動くかがわかっていれば、実際に動いたときに慌てなくて済む。それがいちばんの収穫だった。
まとめ
- 日本株117銘柄・1,315万円の年率リスクは15.0%。1年で±200万円くらい、荒れれば±400万円くらい動く計算
- 1銘柄ずつのリスクを保有金額の重みで平均すると27.1%。リスク30%超が33銘柄・金額の35%もあるのに、まとめると15.0%。12.1ポイントが分散で消えている
- 平均リスクは10銘柄でほぼ下がりきる。ただしそれは平均の話で、10銘柄は引き次第で10.6%〜21.4%と2倍以上違う。増やして買っているのは低いリスクではなく「運に左右されない状態」だった
- 幅を円にすると、10銘柄は引き次第で142万円、30銘柄で67万円、50銘柄で45万円の差。117は必要なかったかもしれないが、10では少なかった。答えははずれを引いても耐えられる数(30〜50)のほうだった
- ただしこれは母集団の大半が、業種の散らばった状態で紹介されていた銘柄だから成り立つ数字(6月に数えた時点で金額の75%)。数が効くのは、選ぶ元が広がっているときだけ
- 比率は均等に持っていたほうが1.8ポイント低かった(年24万円ぶん余計に振れている)。売らない方針は変えず、比率の小さい銘柄を、価格が見合ったときに買い足す形で少しずつ直していく
- 比較すると日経平均28.6%、日本の高配当株ETF18〜19%台に対して自分は15.0%。全世界株(円換算)15.5%とほぼ同じ。ただしわたしの数字はいま持っている117銘柄で1年を遡ったもので、ETFとは条件が対等ではない。そのうえ為替を除くと全世界株14.2%・S&P500 13.0%で、外国株より荒いのは自分だった
- ただし直近1年の数字でしかなく、暴落時は銘柄がそろって落ちるので分散は効きにくくなる。配当も税金も手間も、この数字には入っていない
関連記事
- 資産5,831万円の年率リスクを計算したら11.4%。分散が効いていたのは、思っていたところではなかった
- インデックスが45万円減ったのに、資産は22万円増えた月【2026年7月】
- 「暴落が来たら詰む」は本当か。3つの下落経験と、リーマン級の想定で答える【サイドFIREの疑問②】
- 高配当株の出口戦略。わたしは「売らない」を基本にしている
- 「ドルも危ないのでは?」への答え。ユーロ・スイスフラン、持つならどの通貨がいい?



