資産5,831万円の年率リスクを計算したら11.4%。分散が効いていたのは、思っていたところではなかった
先日、わたしが持っている日本株117銘柄のリスクを計算したら年率15.0%だった。1銘柄ずつだと平均27.1%あるのに、まとめると15.0%まで下がる。分散が効いているのがはっきり見えて、けっこううれしかった。
でも、あれは117銘柄ぶん、1,315万円だけの数字だ。わたしの資産はそれだけではない。インデックス、債券、ビットコイン、現金もある。(前回の15.0%が、この記事では16.2%になっている理由は、次の表の下に書いた)
全部あわせたら、いくつになるんだろう。
気になったので、クロちゃん(わたしはClaudeをこう呼んでいる)にまとめて計算してもらった。都合の悪い数字も出たので、そこも含めて書いておく。
1. まず、単純に足してみる
いま持っているものを全部並べる。日本株117銘柄は、あとで日経平均やTOPIXとも比べるので、この記事では「MY高配当株」と呼ぶ。
表のいちばん下が15.0%だ。これはそれぞれのリスクに、持っている割合をかけて足しただけの数字になる。S&P500単体と同じ15.0%になっているが、これは偶然だ。
こうやって全部を足すと、15.0%になる。
つまり15.0%は、全部が足並みをそろえて動いたときの数字だ。
でも実際には、そんなことは起きていない。ある日はこっちが下がって、あっちが上がっている。それを計算に入れると、どうなるのか。
2. 打ち消し合いを入れると、11.4%になった
実際の値動きを計算に入れるには、足し算ではなく、毎日の動きそのものを合成する。やっていることは、こうだ。
その結果が、これだった。
3.6ポイントぶんが、分散で消えている。持っているものが、同じタイミングでは動いていないからだ。
11.4%というのは、1年でだいたいこれくらい上下するという幅のことだ。5,831万円の11.4%(端数まで入れると11.44%)なので、金額にすると667万円になる。1年後の目安は、こうなる。
±667万円。前回、MY高配当株だけを測ったとき(15.0%)は±200万円だったので、金額としては大きくなった。持っている総額が増えれば当然だ。
でも割合としては下がっている。ここが今回いちばん知りたかったところだった。
では、どれとどれが打ち消し合っていたのか。
3. 効いていたのは、MY高配当株だった
一緒に動くかどうかは、相関という数字で表す。
リスクは直近1年を1日ごとで測ったけれど、相関だけは過去5年を1か月ごとで測っている。なぜ相関だけ長い期間を使うのか。時差があるからだ。
日本の朝の相場は、前の晩のアメリカを受けて動いている。「昨日ニューヨークが下げたから、今朝の日本株も安い」というのは、よくあることだ。
ということは、同じ日付どうしで比べると、この関係が見えなくなる。日本の「今日」と、アメリカの「今日」は、実際には別のタイミングの出来事だからだ。
実際に、区切る長さを変えて測ったら、はっきり出た。
MY高配当株は0.09 → 0.30 → 0.39と上がっていく。区切りを長くするほど、時差のズレが中に吸収されるからだ。一方オルカンは0.96 → 0.96 → 0.97とほとんど動かない。アメリカと同じ時間帯で動いているので、そもそもズレがない。
低いほうの0.09を採って「分散できています」と書くのは、さすがにずるいと思った。なので相関は、いちばん落ち着いた1か月ごと・5年ぶんの数字を使う。
わたしの資産で測った結果が、これだ。
いちばん上の行を見てほしい。MY高配当株は、どれと比べても0.34〜0.48にとどまっている。S&P500とは0.39、BNDとは0.34しかない。
MY高配当株が入らない組み合わせは、6組のうち5組が0.61以上だ。その5組より、はっきり低い。
思い当たることがあった。7月の月次レポートで「日本の高配当株が伸びて、インデックスのマイナスを打ち消した」と書いた。あのときは今月はたまたまそうなったくらいに思っていた。
でも数字で見ると、たまたまではなかった。MY高配当株は、配当を受け取るために持っているつもりだったけれど、資産全体を揺れにくくする役目も、同時に果たしていたことになる。
日経平均やTOPIXと比べると、もっとはっきりする
「日本株だから、アメリカと離れているのは当たり前では」。そう言われそうな気がしたので、日本の指数とも比べた。
日経平均が0.64、TOPIXが0.59。それに対してMY高配当株は0.39だった。
つまり「日本株だから」だけではなく「MY高配当株が、指数よりさらにアメリカから離れている」ということになる。
置き換えて計算したら、2.4ポイントだった
では、どれくらい効いていたのか。試しにMY高配当株1,315万円を、まるごとS&P500に置き換えて計算し直してもらった。
2.4ポイント。この1,315万円が、それだけ全体の揺れを下げていたことになる。
2章では、分散で3.6ポイント消えていると書いた。置き換えたあとの配分で、1章と2章の計算をやり直してみる。単純に足したほうは15.0%から14.7%に下がり、打ち消し合いを入れたほうは13.8%。分散で消えるぶんは、3.6ポイントから0.9ポイントに縮む。資産の22.6%しかない部分が、分散の大半を引き受けていたことになる。
ただ、なぜ日経平均よりアメリカから離れているのか。その理由は、このあとの都合の悪い数字のほうから出てきた。
4. 都合の悪い数字①:S&P500を持っているところに、オルカンを足しても同じだった
ここからが正直に書いておきたい部分だ。
表のなかで、いちばん高い相関が0.97だった。オルカンとS&P500の組み合わせだ。
1.00がぴったり同じ動きなので、0.97はほとんど同じものということになる。
理由ははっきりしている。以前の記事でも書いたけれど、オルカンの中身の6割超はアメリカの会社だ。世界中に分散していると言っても、いちばん大きい部分がアメリカなので、S&P500とほぼ同じ動きになる。
つまりわたしが持っているオルカン193万円は、分散という点ではほとんど働いていない。S&P500を193万円ぶん多く持っているのと、ほぼ変わらない。
なおこれはS&P500を大きく持っているわたしの話で、オルカン1本で持っている人には当てはまらない。それに、ここで言っているのは2つの商品が似た値動きをするという話だ。オルカンやS&P500の中身が分散されていない、という意味ではない。オルカンは約3,000銘柄、S&P500は500社に分かれていて、どこか1社が倒れても全体はほとんど動かない。
5. 都合の悪い数字②:債券なのに、株とかなり一緒に動いていた
もうひとつ。米国債券BNDと、S&P500の相関が0.64だった。
債券は本来、株が下がったときに支えてくれる存在として持っている。だから相関は低いほどありがたい。それが0.64ということは、株が下がった月は、こちらも一緒に下がっていることが多いという意味になる。0(まったく無関係)と1.00(ぴったり同じ)のあいだで言えば、かなり1.00寄りの位置だ。
原因は為替だ。
BNDはドル建ての商品なので、円で見ると「債券の値動き」と「ドル円の値動き」が両方乗る。そしてS&P500にも同じドル円が乗っている。共通の要素が入っているぶん、一緒に動いてしまう。
数字で見ると、はっきりする。BNDはドルで見れば年率6.2%しか動かない、とても穏やかな資産だ。それが円で持つと8.6%になる。ドル円そのものが10.6%も動くからだ(債券と為替は逆方向に動くことが多いので、足し算にはならない)。円で持ったとたん、値動きの主役は債券ではなく為替のほうに移る。
為替ヘッジありの商品を選べば、この部分は消える。ただしそのぶん手数料がかかるので、わたしはドルのまま持つことを選んでいる。
銘柄も国も分けているつもりだったけれど、通貨という一本の軸では、かなり集中していることになる。
ここで、3章の答えが出た
MY高配当株が効いていたのは、まずドル円が乗っていない資産だからだ。
ただしそれだけなら、同じ円建ての日経平均も0.39に近いはずだ。実際は0.64だった。日経平均は値がさのハイテク株の影響が大きく、アメリカと一緒に動きやすい。一方、MY高配当株は国内で商売をしている中小型の会社が多い。
円で持っていることに、内需の中小型が多いことが重なって0.39になっている。
わたしの資産で「ドル円の影響を受けない」のは、MY高配当株1,315万円と現金300万円だけ。全体の27.7%にあたる。この2つが、7割あるドル建てを支える形になっている(ドル建て70.6%にも入らない1.7%はビットコインで、これも円だけで完結する資産ではない)。
ドル建てが7割という偏りは通貨の記事にも書いたとおり自覚しているけれど、増やす部分は世界の成長に預けたいので、いまの配分は変えない。
6. ビットコイン47.7%と、現金300万円
残りの2つについても書いておく。
ビットコインの年率リスクは47.7%だった。表のなかで断トツに荒い。S&P500の3倍以上だ。
それでも困っていないのは、保有額が99万円で、全体の1.7%しかないからだ。1.7%が半分になっても、全体では0.85%減るだけになる。荒いものは、小さく持てば効かない。
ちなみにビットコインは、MY高配当株との相関が−0.02とほぼゼロだった。記事のなかで、いちばん0に近い組み合わせだ。ただしS&P500とは0.44あるので、どれとも離れているわけではない。しかも荒すぎるので、増やす気にはならない。
逆に効いていたのが現金300万円だ。
現金はリスク0%なので、持っているだけで全体の数字を下げる。実際に計算すると、現金を除いたリスク資産だけなら12.1%、現金を入れると11.4%だった。0.7ポイント下げていることになる。
生活防衛資金として置いている300万円は、数字のうえでも、ちゃんと仕事をしていた。
7. わかったこと
計算してみて、いちばん変わったのは資産どうしの分散という言葉の意味だった。同じ動きのものを重ねて持つことではなく、別々に動くものを持つことだった。
そのうえで意外だったのは、効いていたのがMY高配当株だったことだ。配当のために買っていたものが、効率とは別のところでちゃんと仕事をしていた。しかも狙ってそうしたわけではない。リベシティで紹介された銘柄を組み合わせていったら、結果的にそうなっていた。
逆に、S&P500を大きく持っているわたしが足しても、分散が増えないものもあった。オルカンだ。
ちなみに、全部を計算しなくても使える見分け方がひとつある。いま持っているものに何かを足すとき、それが「いま多く持っているのと同じ通貨か」を先に見る。同じ通貨なら、たいてい一緒に動く。わたしがオルカンで気づいたのは、結局それだった。
8. この数字の限界
最後に、この数字からは言えないことも書いておく。
2つ目がいちばん大事だと思っている。いま0.39の相関も、本当の暴落が来れば1に近づく。そのときは日本株もインデックスも一緒に落ちる。コロナのときは相場が約3割下がった。同じことがいま起きれば、5,831万円のうち約1,750万円が消える計算になる。±667万円は「ふつうの1年」の幅であって、暴落のときの幅ではない。
それでも、測ってよかった。自分の資産がどれくらい動くのか、そして何が効いていて何が効いていないのかが、はじめてはっきりした。
±667万円という数字は、見た瞬間はやっぱり大きい。でも取り崩さない設計にしているので、動いても売らなくていい。わかっていれば、動いた日も慌てずに済む。それがいちばんの収穫だった。
まとめ
- 資産5,831万円のリスクを、単純に足すと15.0%。それが実際に測ると11.4%だった。差の3.6ポイントが分散で消えたぶん。1年後の目安は、ふつうの年で±667万円、荒れた年で±1,334万円
- いちばん効いていたのはMY高配当株。S&P500との相関は0.39。この1,315万円をまるごとS&P500に置き換えると、揺れ幅は11.4%から13.8%に上がる。分散で消えるぶんも、3.6ポイントから0.9ポイントに縮む(単純に足したほうは15.0%から14.7%)。資産の22.6%しかない部分が、分散の大半を引き受けていた
- しかも日経平均0.64・TOPIX0.59よりも低い。「日本株だから」だけではなく「MY高配当株が、指数以上にアメリカから離れていた」。理由はドル円が乗っていない円建て資産であることと、国内で商売をしている中小型が多いことだった
- 日本とアメリカは市場が開く時間が違うので、同じ日付で比べると連動が見えない。MY高配当株とS&P500の連動ぐあいは、日ごと0.09 → 週ごと0.30 → 月ごと5年で0.39と上がる。低いほうを採るのはずるいので、相関は月ごと5年の数字を使った
- 逆にオルカンはS&P500と相関0.97。中身の6割超がアメリカなので前から知ってはいたが、数字で確認できた。S&P500を大きく持っているわたしには、オルカンを足してもS&P500を増やすのとほぼ同じだった
- 資産の70.6%がドル建て。債券BNDまでS&P500と0.64になるのは為替のせいで、ドルで見れば年率6.2%しか動かない。ドル円の影響を受けないのはMY高配当株と現金だけで27.7%。この2つが、7割あるドル建てを支えていた
- 荒いものは、小さく持てば効かない。ビットコインは年率47.7%と断トツに荒いが、全体の1.7%しかないので、半分になっても響かない。逆に現金300万円は、置いてあるだけで全体を0.7ポイント下げていた
- ただし本当の暴落では相関が1に近づく。今回の数字は「ふつうの1年」の話でしかない
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